仕事や家事、育児などで忙しさやストレスを感じやすい現代人にとって、心身ともにリラックスできる場所は、やはり自宅に勝るものはないでしょう。中でも木の家は、住む人に癒し効果をもたらす点で注目されています。その効果には、科学的な根拠がしっかりとあります。
木の家には、木材特有の柔らかさと温かみが心理的な安心感を与え、ナチュラルな素材感が日常生活のストレスを和らげる効果があります。実際、木材に触れる実験では心拍数や血圧が安定するデータが報告されており、高いリラックス効果が得られることが示されています。また、木材は古くから建材として利用されてきた歴史があり、その自然な風合いが心身を落ち着かせる要因の一つと考えられています。
出典:J-STAGE「木材への接触が人にもたらす生理的リラックス効果」
森林公園や木々に囲まれた自然の中を散歩して、心地よいリラックス感を得た経験のある方は多いのではないでしょうか。この感覚には、しっかりとした科学的根拠があります。そして、木の家にも同じような効果があることが分かっています。それをもたらしているのが、木や植物が放出する「フィトンチッド」という成分です。この成分は自然の木の香りの主成分で、自律神経を整え、リラックス効果を高めるだけでなく、免疫力を向上させることが研究で示されています。さらに、このフィトンチッドは木材となってからも放出されるため、木の家に住むことで、室内でも森林浴と同じような効果を得ることができるのです。
出典:日本ウッドデザイン協会「木材の匂いが、心にも体にもリラックス効果があることが分かってきました」
木材には、触覚や香りだけでなく、見た目からもリラックス効果をもたらします。人間は木目模様や自然な色合いに長く親しんできたため、それらを見ることで心理的に落ち着きを感じることが研究で明らかになっています。さらに、木目のナチュラルなデザインには、集中力や記憶力を高める効果もあることが分かっています。
出典:日本ウッドデザイン協会「人間の快適性に及ぼす木材の触覚、視覚及び嗅覚刺激の効果の解明」
木材にはさまざまなメリットがありますが、それらが複合的に働くことで、身体面での癒し効果をもたらす点も見逃せません。例えば、木材の調湿性能は、湿度が高い時には空気中の水分を吸収し、乾燥時には水分を放出します。この機能により、乾燥時には呼吸器系への負担を和らげ、高温多湿時にはエアコンへの依存を減らし、カビやダニの発生を抑えることで、アレルギーやアトピーのリスク軽減につながります。
また、木材は外気温の影響を受けにくい室内環境をもたらし、体感温度を安定させることでストレスを和らげます。加えて、ストレスホルモンを減少させ、幸福感を高める効果があることもデータとして報告されています。
出典:日本ウッドデザイン協会「木材の匂いを嗅ぐと、免疫力が上昇したとの報告があります」
スギやヒノキは、木の家づくりにおいて昔から人気のある木材ですが、科学的にもリラックス効果の高い香りを放つことが明らかになっています。古来より人間は、スギやヒノキの香りがもたらす癒しの効果を経験的に知っていたのかもしれません。リラックス効果を発揮する木材はさまざまありますので、ご自身やご家族に合ったものを選ぶとよいでしょう。
現代のモダンスタイルの木造住宅では、木目のフローリングが定番ですが、床以外にも多くの木材を取り入れる工夫をしてみてはいかがでしょうか。例えば、梁や柱をインテリアとして見せるデザインにしたり、家具や建具を木製のもので揃える方法があります。また、自然素材を使った小物をアクセントとして室内に配置することで、より木の温もりを感じられる空間を演出できます。
木目と調和する照明を選ぶことで、木の家のリラックス効果をさらに高めることができます。例えば、昼間はなるべく自然光を採り入れられるよう天窓や大開口部を設けたり、夜は間接照明を多用することで、柔らかな光が木材の温かみを引き立て、落ち着いた雰囲気が演出できます。また、木材のナチュラルな色合いに合わせて、アースカラーや柔らかいトーンのインテリアを取り入れると、全体に統一感が生まれ、より心地よい空間を作ることもできます。
木の家は住む人に心理面でも身体面でも多くの良い影響を与えてくれます。科学的根拠に加え、長年木材と共に暮らしてきた人間が培ってきた心理的な安心感も、その効果に大きく関与しているのかもしれません。自宅でのリラックス感をさらに高めたい方は、ぜひ木の家を検討してみてはいかがでしょうか。